第3回:リンクで知識をつなぐ——Obsidianが普通のメモアプリと違う理由

Obsidianでノート同士をリンクする意味を、複数の関心との接続、過去のメモの再発見、将来育てたい問いという観点から説明します。

前回は、Markdownとローカルファーストについて説明しました。

Obsidianのノートは、普通のテキストとして読めるMarkdownファイルです。自分の端末にあるファイルを基本にするため、特定のサービスだけに知識を預けず、自分の手元に残しやすいという特徴があります。

今回は、ObsidianをObsidianらしくしているもう一つの特徴、リンクを取り上げます。

Obsidianでは、ノートを保存するだけでなく、ノート同士を簡単につなげられます。リンクが増えると、過去のメモと現在の関心が結びつき、知識ベースが少しずつ育っていきます。

Obsidianの最大の特徴は「リンク」

Obsidianでは、一つひとつのメモを「ノート」として保存します。

たとえば、本を読んで気づいたことを書いた「読書メモ」と、AIの使い方について考えた「AI活用」という二つのノートがあるとします。

この二つは、最初は別々のノートです。しかし、「読書メモ」の文章から「AI活用」へリンクを付けると、二つのノートを行き来できるようになります。

文章では、次のように表します。

この本で紹介されていた方法は、[[AI活用]]にも応用できそうだ。

[[AI活用]]の部分が、「AI活用」というノートへのリンクになります。

この部分を選ぶと、「読書メモ」を読んでいる途中から「AI活用」へ移動できます。

読書メモ
↓ リンクを開く
AI活用

Webページの文章中にあるリンクを選び、別のページへ移動するのと似ています。違うのは、移動先も自分が書いたノートだということです。

この仕組みがあると、関連する内容を一つの長いノートへ詰め込まなくても、別々に書いたノートを必要なところでつなげられます。

一つのノートから、複数のノートへつなぐこともできます。たとえば、「AIを使ったプレゼン資料作成」というノートは、「AI活用」と「プレゼンテーション」の両方に関係しています。

このテーマは、[[AI活用]]と[[プレゼンテーション]]の両方に関係している。

このように書けば、どちらのノートにも移動できます。現実の学びや仕事は、一つのテーマだけに分けられないことがよくあります。リンクを使うと、一つのノートが複数の関心とつながっていることを、そのまま表せます。

具体的な入力方法、候補の選び方、リンク先への移動は、第6回で実際に操作します。

ひらめきを、次のノートの入口として残す

ノートを読んだり書いたりしている途中で、関連する問いやアイデアが浮かぶことがあります。

たとえば、「AI活用」というノートを読み返しているときに、「AIを使うことは、学び方そのものをどう変えるのだろう」と気づいたとします。

その場で詳しい文章を書く時間はないかもしれません。しかし、何も残さなければ、そのひらめきを忘れてしまうことがあります。

そんなときは、あとで一つのノートとして考える価値があるテーマを、将来のノート候補として残しておけます。

AIを使うことで、学び方そのものも変わるのだろうか。
あとで、[[AI時代の学び方]]として考えてみたい。

これは、「あとで一つのノートとして取り上げる価値がありそうだ」と思ったアイデアに、将来の入口を作る使い方です。

未作成リンクを書いたときにファイルが作られるのか、どの操作でノートになるのかは、第6回で画面を確認しながら説明します。

リンク元からも過去のノートへ戻れる

Obsidianでは、いま開いているノートに対して、「どのノートからリンクされているか」も確認できます。この機能をバックリンクと呼びます。

リンクをたどって先へ進むだけでなく、リンク元へ戻ることで、同じテーマを以前どのような文脈で考えていたのかを見つけ直せます。

バックリンクの画面と詳しい使い方は、第8回で実際のノートを使って説明します。

グラフビューはリンクを地図にする

Obsidianといえば、グラフビューを思い浮かべる人も多いかもしれません。

グラフビューでは、ノートが点として表示され、リンクが線として表示されます。ノートとリンクが増えてくると、自分の知識ベースが星座や地図のように見えてきます。

見た目にも楽しい機能ですが、眺めて満足するためだけのものではありません。

グラフビューから、次のようなことを確認できます。

グラフビューで確認できること

  • どのテーマにノートが集まっているか
  • どのノートが孤立しているか
  • どのノートが多くのつながりを持っているか
  • 別々のテーマがどこでつながっているか

グラフビューは、自分の知識の量を見せる画面ではありません。知識がどのようにつながり、どの領域が育っているのかを見るための画面です。

具体的な見方や使い方は、後の回で詳しく扱います。

最初から立派な知識の網を作らなくてよい

リンクの説明を読むと、すべてのノートをうまくつなげなければならないと感じるかもしれません。

しかし、最初から複雑な知識のネットワークを作る必要はありません。

Obsidianでは、ノートを最初から完成品として扱わなくてかまいません。小さな断片を残し、あとから見返し、つなぎ、育てていきます。

第3回のまとめ

Obsidianの最大の特徴は、ノート同士をリンクできることです。

リンクは、過去のメモへ戻り、別の関心との関係を見つける入口になります。バックリンクやグラフビューを使うと、そのつながりを別の方向から確認できます。

最初から多くのリンクを作る必要はありません。まずノートを書き、関係が見えたときに少しずつつなげれば十分です。

第4回と第5回では、Obsidianをインストールし、最初のノートを書きます。第6回では、実際に二つのノートをWikilink形式でつなぎます。

参考リンク